前歯の歯並びだけが気になる場合

上下の前歯など、一部分の歯並びだけが気になる場合に適しています。

軽度の叢生（歯の重なり）の場合

歯が重なって生えている状態（叢生）でも、軽度であれば部分矯正で治療できる可能性があります。

正中のずれが気になる場合

前歯の中心線がずれている場合、部分矯正で改善できる可能性があります。

出っ歯の程度が軽い場合

上の前歯が下の前歯よりも出ている状態（出っ歯）でも、軽度であれば部分矯正で治療できる場合があります。

矯正治療後の後戻りが気になる場合

過去に矯正治療を受けたことがあるものの、一部の歯並びが後戻りしてしまった場合、部分矯正でピンポイントに治療できます。

治療期間を短縮したい場合

全体矯正と比較して、部分矯正は治療期間が短い傾向があります。そのため、短期間で歯並びを改善したい方に向いています。

費用を抑えたい場合

部分的に矯正を行うため、全体矯正と比較して費用を抑えることができます。

目立たない

部分的な裏側矯正は装置を歯の裏側（舌側）に装着するため、表から見えにくいです。会話をする際や笑顔を見せるときも、裏側矯正なら気にせず自然体でいられるでしょう。接客業や営業職など、人前に出る機会が多い方にとっては、部分的な裏側矯正は魅力的な選択肢といえます。矯正装置の見た目を気にせず、ストレスなく日常生活を過ごせるのは、部分的な裏側矯正の大きなメリットの一つです。

短期間で治療できる

部分的な裏側矯正は前歯だけなど、気になる部分を集中的に治療できるため、全体矯正よりも治療期間を短縮できます。症例によっては半年程度で治療が完了するケースもあります。短期間で結果が出るため、特別なイベントに合わせて治療を検討する方もいらっしゃいます。ただし、歯の状態などによっては思うように治療が進まないこともあるため、無理のないスケジュールを立てることが大切です。

費用が抑えられる

部分的な裏側矯正は、全体矯正に比べて費用を抑えられることもメリットです。全体矯正の場合、装置代だけで150万円ほどかかることもありますが、部分的な裏側矯正なら装置代は30～50万円程度に抑えられます。また、治療期間も短いため、通院回数が少なく済み、それに伴う諸経費も節約できます。治療範囲が限定的なため、材料費や技工料も最小限に抑えられるのです。歯並びが気になる部分だけの裏側矯正なら、比較的リーズナブルな価格で治療が可能です。

舌の違和感

裏側矯正は歯の裏側に装置を装着するため、装置が舌に直接触れて違和感を抱くことがあります。装着した直後は舌の動きが制限されたり、舌が装置に頻繁に接触したりすることで不快感を覚えるかもしれません。多くの場合、数日～2週間程度で慣れて違和感は次第に和らいでいきます。装置の角を丸くしたり、ワックスを塗布したりといった工夫で舌への刺激を抑えることも可能です。

発音への影響

装着初期は発音しづらさを感じることがあります。舌の動きが制限されることで、「サ行」「タ行」「ラ行」などの発音が不明瞭になりがちです。慣れるまでの期間は個人差があり、1週間程度の方もいれば1ヶ月以上かかる方もいらっしゃいます。また、装置の種類によっても発音のしづらさは異なります。日常会話で意識的に舌を動かすトレーニングをすると、適応までの期間を早められます。

歯磨きがしづらい

裏側矯正のデメリットの一つに、歯磨きがしづらいという点が挙げられます。歯の裏側に装置があることで歯ブラシが当たりづらく、磨きにくいでしょう。歯磨きが不十分だと装置周りに汚れが溜まり、虫歯や歯周病のリスクを高めたり、着色汚れで見た目が悪くなったりします。歯間ブラシやデンタルフロスなども使いながら、丁寧に歯磨きをすることがポイントです。手間はかかりますが、口腔内を清潔に保つことが裏側矯正を成功させる秘訣といえます。

装置の破損リスク

矯正装置を歯の裏側に装着するため、かみ合わせの力が直接かかりやすいです。それにより、装置の破損リスクが表側矯正に比べて高い傾向があります。特に、かみ合わせが深い、歯ぎしりをする、硬いものを噛む習慣があるといった場合は装置の破損に注意が必要です。装置が破損すると治療を中断し、修理が必要になります。破損を防ぐには硬いものを控える、無理な力を加えないなどがポイントです。万が一破損した場合はすぐに歯科医院に相談するようにしてください。

診断・治療計画の立案

部分的な裏側矯正を開始するにあたり、まずは歯科医師による詳しい診断が行われます。歯並びの状態やかみ合わせなどを細かく調べて、模型や分析ソフトを用いてシミュレーションを行います。治療に対する要望なども踏まえながら、治療計画を立案します。この際、次のような点を考慮に入れます。

• 治療の範囲（気になる部分のみか、かみ合わせも含めるか）
• 使用する装置の種類
• 想定される治療期間
• リスクや制約事項の有無

慎重に診断・治療計画を行うことで、一人ひとりに合った無理のない治療を提案できます。

装置の作製・装着

歯型を取り、一人ひとりの歯の形状に合わせたオーダーメイドの装置を作製します。精密な位置決めを行いながら、歯の裏側に作製した装置を接着剤で装着します。装置と歯の間にワイヤーを通すことで、歯を動かすための力をかけられるようになります。装着には時間を要しますが、一人ひとりに合わせたフルオーダーメイドの装置により、効果的な矯正治療が可能です。

定期的な通院とワイヤー調整

部分的な裏側矯正の治療中は、約1ヶ月に1回のペースで歯科医院に通院します。通院の際にはワイヤーの具合などを確認し、必要に応じて調整を行います。ワイヤーの張力を変えることで、歯に適切な力がかかるようにコントロールできます。定期的な通院とワイヤー調整を繰り返すことで段階的に歯を動かし、理想的な歯並びに近づけていきます。

装置の取り外しとリテーナー

装置は歯並びが改善されたら取り外します。治療の効果を維持するために、リテーナーを装着します。リテーナーは基本的に就寝時のみの装着で済むため、日中のストレスが少ないのが特徴です。矯正治療後の保定期間は個人差がありますが、おおむね1～3年程度が一般的です。この間、定期的な通院でリテーナーの状態もチェックします。

平均的な治療期間

部分的な裏側矯正の平均的な治療期間は6ヶ月～1年程度です。歯並びの状態によっては、さらに短期間で治療が完了することもあります。ただし、治療期間は個人差が大きく、年齢や骨格の状態、装置の装着時間などによって変動します。担当医と相談のうえ、無理のないペースで治療を進めることが大切です。

費用を抑える方法

部分的な裏側矯正の費用を抑える場合、保険適用の範囲内で治療を行うことが挙げられます。保険適用範囲内で部分矯正を行うことで、自費診療と比べて費用を抑えられます。ただし、保険適用には一定の条件があるため、事前に確認が必要です。また、分割払いを利用することも一つの方法です。歯科医院によっては分割払いに対応しており、費用負担を和らげることができます。