アンカースクリューを使った矯正治療のメリットと注意点

治療期間の短縮が可能

アンカースクリューを用いた矯正治療は、従来の矯正治療と比べて治療期間の短縮が可能です。歯を移動させる際にアンカースクリューを固定源とすることで、他の歯を引っ張って移動させる必要がなくなります。そのため、不要な歯の移動を防ぎ、効率的に目的の歯を動かせるのです。アンカースクリューを用いることで、平均6ヶ月～1年ほど治療期間を短縮できるといわれています。できるだけ短期間で歯並びを整えたい方にとって、アンカースクリューは魅力的な選択肢といえるでしょう。

歯の移動をコントロールしやすい

アンカースクリューを使うことで、特定の歯だけを効率的に動かすことができます。従来の矯正治療では、前歯を引っ張ると奥歯まで一緒に動いてしまう反作用が起こりました。しかし、アンカースクリューを顎の骨にしっかり固定することで、奥歯の不要な移動を防げるのです。これにより、意図した通りに歯を移動させることが可能になります。難しい歯並びの改善にも対応しやすく、精密で効率的な矯正治療が実現します。アンカースクリューの埋入位置を工夫することで、狙った歯を的確に動かせるのが大きなメリットといえるでしょう。

手術に伴うリスクについて

アンカースクリューの埋入手術に伴うリスクとして以下が挙げられます。

• アンカースクリューの脱落・破損
• 手術部位の感染症
• 歯の根の損傷
• 神経の損傷による知覚異常
• 上顎洞への穿孔

上顎洞への穿孔は慢性副鼻腔炎などの合併症を引き起こすおそれがあるため、注意が必要です。また、アンカースクリューが脱落した場合、再度埋入手術が必要になることもあります。これらのリスクを抑えるためには、適切な手術計画と手技が重要です。手術前にはCTなどの画像検査で、位置関係を十分に把握しておくことが大切です。

治療前の検査・診断

アンカースクリューを用いた矯正治療の開始に向けて、まず初回カウンセリングで症状の診察や治療方法、費用などに関する説明があります。所要時間は一般的に20～30分程度です。次に検査を行います。問診や診察、歯型取り、写真撮影、レントゲン・CT撮影、必要に応じて顎の運動検査や筋電図検査なども行います。この検査には約60分を要します。

アンカースクリューの埋入手術

アンカースクリューの埋入手術は、通常30分程度で終了します。まず歯茎に局所麻酔を行い、歯茎を切開します。次に歯の根っこを避けながら直径1.5mm、長さ6～8mm程度の小さなネジ（アンカースクリュー）を上顎などの骨に埋め込みます。最後に切開した歯茎を縫合して手術は完了です。手術後は腫れや痛みが出ることがありますが、数日で治まります。

矯正装置の装着と調整

アンカースクリューの埋入後、歯列矯正装置を装着します。装置にはブラケットやワイヤー、ゴムなどが含まれます。各歯にブラケットを接着し、ワイヤーを通して歯並びを整えていきます。アンカースクリューにはゴムやコイルスプリングを引っ掛け、歯を目的の位置に動かすための力をかけます。装置装着後は1～2ヶ月に1回のペースで通院し、調整を行います。ワイヤーの交換やゴムの付け替えにより、段階的に歯を動かします。装置の調整には、歯科医師による細やかな調整が必要不可欠です。

アンカースクリュー埋入費用の目安

アンカースクリューを使った矯正治療では、埋入にかかる費用が別途必要です。埋入費用は歯科医院によって異なります。また、使用する本数や材質などによっても費用が変動します。アンカースクリューは保険適用外の自由診療のため、費用については事前に担当医とよく相談しておくことが大切です。

全体的な矯正治療費用の内訳

歯列矯正の治療費用は、以下のような内訳になっています。

• カウンセリング料
• 検査診断料
• 矯正装置費用
• 調整料
• 保定装置費用
• 保定観察料

保険適用の有無

歯列矯正の保険適用は治療の目的によって異なります。審美目的の場合、保険適用外のため自由診療（自費）での治療となります。一方、口腔機能の改善を目的とした歯列矯正の場合、一定の条件を満たせば保険適用となります。ただし、保険適用となる場合でも、アンカースクリューの費用は別途自費となることが一般的です。歯列矯正にかかる総費用は、保険適用の有無や使用する装置、治療内容などによって大きく異なるため、事前の説明と見積もりが重要となります。

初診・カウンセリングの予約

アンカースクリューを使った矯正治療を始める際は、まず初診とカウンセリングの予約が必要です。歯科医院のホームページや電話で予約を取ることができます。初診では、お口の状態を詳しく検査し、どのような治療が適しているかを判断します。また、治療内容や期間、費用などについての説明もあります。アンカースクリューを用いた矯正治療は、ケースによって費用や期間が異なるため、カウンセリングで具体的な治療プランを立てます。治療を進めるためには、患者様の同意と理解が欠かせません。不明点や不安なことは遠慮なく相談しましょう。初診・カウンセリングを通して、治療に対するモチベーションを高めることが大切です。

治療開始までの流れ

歯科医師が口腔内を診察し、レントゲン写真などの検査データをもとに治療計画を立てます。治療方針に同意後、アンカースクリューの埋入手術の日程を決めます。手術当日は局所麻酔をして、上顎の歯肉にアンカースクリューを埋入します。手術時間は30分程度です。手術後は腫れや痛みが出ることがあるので、しばらく安静にします。その後、矯正装置を装着し、定期的な通院で装置の調整を行いながら歯を動かしていきます。

定期的な通院の必要性

アンカースクリューを使った矯正治療では、装置の調整で定期的な通院が欠かせません。通常、1～2ヶ月に1回のペースで歯科医院へ通います。アンカースクリューの状態確認、矯正装置のワイヤー・ゴムの交換、歯の動きの確認が行われます。通院を怠ると歯の移動が計画通りに進まなかったり、装置のトラブルが生じたりするリスクが高まります。治療を円滑に進めて良好な結果を得るためにも、定期的な通院は重要なポイントです。